交通事故は突然起こり、事故後には迅速かつ適切な行動が重要となります。兵庫県尼崎市の清藤法律事務所では、こちらのブログを通じて、交通事故に遭遇した際に直面するかもしれない様々なお悩みや疑問に対して、役立つ情報を提供します。
事故直後の行動から、保険会社との対応、示談金、後遺障害等級認定など、交通事故の各種問題について専門家である弁護士が解説します。
今回のブログでは“無過失責任”に関する解説を行います。
無過失責任の概要
無過失責任の定義
無過失責任とは、加害者に故意や過失がなくても、法律の規定によって損害賠償責任を負う制度です。交通事故の分野では、被害者保護の観点から特に重要な概念となっています。
無過失責任の根拠法
交通事故における無過失責任の根拠となるのは、自動車損害賠償保障法(自賠法)第3条です。この条文により、自動車の運転者は原則として事故の責任を負うことになります。
無過失責任の特徴と意義
被害者保護の強化
無過失責任制度の最大の意義は、被害者の保護を強化することです。加害者の過失を立証する必要がないため、被害者の負担が軽減されます。
立証責任の転換
通常の不法行為では被害者が加害者の過失を証明する必要がありますが、無過失責任では加害者が自身の無過失を証明しなければなりません。
無過失責任が免除される条件
自賠法第3条但し書きにより、以下の3つの条件をすべて満たす場合、加害者は責任を免れる可能性があります。
❶ 運転者の無過失
自動車の運行に関して注意を怠らなかったことを証明する必要があります。
❷ 被害者または第三者の過失
被害者や他の第三者に故意または過失があったことを示す必要があります。
❸ 自動車の無欠陥
自動車に構造上の欠陥や機能の障害がなかったことを証明しなければなりません。
無過失責任の適用例
居眠り運転事故の判例
2015年の福井地方裁判所の判決では、居眠り運転で突っ込まれた運転手に4,000万円の賠償責任が認められました。この事例は、無過失責任の厳格な適用を示しています。
歩行者との事故
歩行者との事故でも、運転者側に無過失責任が適用されることがあります。ただし、歩行者に明らかな過失(赤信号無視など)がある場合は、過失相殺が認められる可能性があります。
無過失責任と保険
自動車保険の重要性
無過失責任制度の存在により、十分な補償内容の自動車保険に加入することの重要性が高まっています。
示談代行の制限
被害者に過失がない場合、保険会社による示談代行が制限されることがあります。このような場合、弁護士への相談が有効な選択肢となります。
無過失責任への対応
事故直後の対応
事故現場での証拠収集や目撃者の確保が重要です。これらの情報が後の交渉や裁判で重要な役割を果たす可能性があります。
専門家への相談
無過失責任が問われる可能性がある場合、早期に弁護士に相談することをお勧めします。専門的な知識と経験を持つ弁護士が、適切な対応策を提案してくれるでしょう。
弁護士への相談を検討しましょう
無過失責任制度は、交通事故の被害者保護を強化する一方で、加害者側には厳しい責任を課す制度です。この制度の存在を理解し、適切な保険加入や事故時の対応を心がけることが重要です。
交通事故に遭遇した場合、特に無過失責任が問題となるような複雑なケースでは、弁護士への相談を検討してください。清藤法律事務所では、交通事故に関する様々なご相談に対応しております。お困りの際は、お気軽にご連絡ください。